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『ぼくらの時代』 栗本薫 [ミステリー]

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[本]★★☆☆☆

ジャンル:青春ミステリー

 悪くはないといった作品。第24回江戸川乱歩賞受賞作。
 たしかに構成は凝っているし、どうしてこのような構成を取ったのかということも最後まで読めばわかるんだけど、ちょっとアンフェアじゃないかなと思ったりしました。本格になりきれていない作品だから、そう感じるんでしょうね。
 文体はあまり好きじゃない。純文なら、ありだと思う。それでも駄作で失敗していたらダメだけれど……。
 著者が表明した「文学における物語性の復権」にはおおいに同意だけれど、ミステリーという分野ではほとんど意味がないようにも思う。というのも、ミステリーを含んだところの大衆小説や通俗小説と呼ばれているものに物語性がないわけがないから。
 純文という分野で体現してこそ、安部公房や村上春樹になれるんでしょうね。
 ものすごく脱線しましたが、構成的にも内容的にも当時は斬新だったということなんでしょうね。以上。

『時をきざむ潮』 藤本泉 [ミステリー]

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[本]★★☆☆☆
ジャンル:サスペンス

 悪くはないといった作品。第23回江戸川乱歩賞受賞作。良質なサスペンスだが、何だか話が嘘っぽい。小説はあくまでも虚構だから、リアリティなんか感じられなくていいのだが、それでもやはり虚構としてのリアルは造ってほしい。おそらく、箱の作りが甘いんだろうと思う。幻想小説だと思えば、まあそれでいいんだろうけど……。
 ただし、探偵と犯人が対峙する構成は当時(昭和52年)としては斬新であり、さらに終わり方も良かった。完全に裏切られました。「えっ?」という感じで。
 本作品は、どうやら蝦夷5部作のうちの2作目ということのようですが、よくもまあ、そのような作品を新人賞に応募したなと思っていたら、応募時にはすでに作家としてデビューしていた模様。
 5部作の他作品も読んでみたいけど、構成がほとんど同じだという情報をキャッチしたので、さてどうしたもんだろう。というより、たぶん入手困難でしょう。以上。

『透明な季節』 梶龍雄 [ミステリー]

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[本]★★★☆☆
ジャンル:本格推理

 及第点な作品。第23回江戸川乱歩賞受賞作
 ポケゴリは死んだ──という冒頭の語句から、ツァラトゥストラの「神は死んだ」を連想するのは本職だけではあるまい。ただ、あまり難しいことにこだわるのはよして、要するに著者からは「純文が書きたかった」臭が漂ってくるのである。
 実際に、作品はミステリーの要素は含んでいても、ほぼ間違いなく終戦間際を舞台にした著者の私小説となっている。ミステリーパーツは後付された肉付に過ぎない。
 そして結果は──本格推理としては平凡、純文学としては希薄である。まさに、江戸川乱歩賞だからこそ、受け止められた作品といえるのではなかろうか。それでも相当な異色作であることは間違いない。選者に拍手を送りたい。そういうことで★3つ。以上。

『五十万年の死角』 伴野朗 [ミステリー]

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[本]★★★☆☆
ジャンル:サスペンス

 及第点な作品。第22回江戸川乱歩賞受賞作。
 文章は激しく上手。新人賞の応募作で、すでにプロ級です。というのも、著者は朝日新聞の記者だったんですね。納得しました。
 内容については、人殺しのミステリーという観点からすれば平凡ですが、北京原人の化石骨紛失を題材にした歴史ミステリーをメインだと考えれば、なかなか興味ひかれるサスペンスとして仕上がっています。
 ただ、サスペンスなので偶然がストーリーをつないでいる局面が多々みられます。本官が気になったのは、そこですね。虚構を継いでいくのは確かに難しい作業ですが、熟練したストーリーテラーになるためには、頑張って必然の偶然と思わせるパーツをもってくることが大事なんでしょうね。以上。

『蝶たちは今……』 日下圭介 [ミステリー]

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[本]★★☆☆☆
ジャンル:本格推理

 悪くはないといった作品。第21回江戸川乱歩賞受賞作。水準的には習作に少し毛が生えた程度。
 トリックにひとつ気のきいたのがあったけど、総合評価はいまいちでした。以上。
 
 追伸:警部が戻ってきました。これから、また頑張ります。 
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